格言再考-格言から真に益を得る方法
『論語読みの論語知らず』といわれるように、格言をたくさん知っていることと、そこから益を得ていることとは別です。真に益を得るには、それを生活に当てはめそれを自分のものとすること、つまり体得することが必要です。それで、まず、格言を熟考し、理解するように努力しましょう。
『学びて思わざればすなわちくらし』
辞書的な意味だけをいくら学んでも、自分で熟考しなければ真理に到達しないということ。熟考する際、真実性や当てはまる状況について考え、また、関連した格言がないか探してみましょう。次に、実際に生活に当てはめるようにします。それで、具体的適用法を考えるようにしてください。
『習うより慣れよ』
という格言にもある通り、当てはめる経験を重ねて真の知恵となります。具体例をいくつか上げてみましょう。
『わが身をつねって人の痛さを知れ』
は人の痛みはなかなか理解できないという事実を類推により教えています。自分が経験してはじめて分かるのです。似たような格言に『同病相憐れむ』というものがあります。同じように、病気という状況を例にして、同じ立場や境遇に立ってはじめて理解できるという真理を示しているのです。したがって、人の痛みの分かる人間になるには苦労を経験する必要があるのです。ここから、次のことも分かります。それは、『あなたの気持ちが分かります』ということは簡単に言うべきでないということです。こうしたことにも気を配れるようになったなら、本当にこの真理を理解できるようになったことになります。
『鉄は熱いうちに鍛えよ』
も類推により、訓練するのにはふさわしい時があることを納得させてくれます。確かにふさわしい時があり、その好機を逃しては効果は薄れてしまいます。では、訓練するのにふさわしいときとはどんなときでしょうか。それを具体的に考えてこそこの教訓を生かすことができるのです。たとえば、次のようなときが考えられます。熱意があるとき、学習意欲があるとき、心の純粋なとき、謙遜なとき、希望に燃えているとき、・・・。さらに、関連した格言も理解の助けになります。『三つ子の魂百までも』正しい特質を培う点で幼児期は大切です。『八十の手習い』年老いても不可能ではありません。大切なのは意欲があることです。『大器晩成』必要なときに必要な成長を遂げてこそ立派な人間になれるのです。
『時は金なり』
時は貴重なものであるという認識は人生を成功させる上で大切なことです。金という例えから、買うべきものであるということ、何らかの犠牲を払って得るべきものであることも分かります。しかし、どんな時間を買うべきなのでしょうか。どんなことを犠牲にすべきなのでしょうか。そこを考えてこそこの真理から益を得ることができるのです。最も大切な時間は何でしょうか。無駄にしている時間、犠牲にできる時間は何でしょうか。具体的に、自分の時間の使い方を反省してみなければなりません。重要な時間とは重要な結果をもたらす時間であるに違いありません。たとえば、家族との一時は家族に一致や幸福に不可欠です。ゆっくり考える時間は自分の人生を豊かにする上で大切です。こうした時間を犠牲にすることはできません。何としても買わなければなりません。時に関する格言に『光陰矢のごとし』というものがあります。これによって今すべきことの大切さを銘記させられます。後悔しないように時間の使い方をじっくり考えたいものです。
こうした点は、『今週の格言』で簡潔ではありますが取り上げられています。それらを参考にしながら自分で一層深めて考えるようにお勧めいたします。
『今週の格言』の活用法をまとめておきましょう。
1.単に辞書的な意味を暗記することを目標としない。
2.まず、鵜呑みにせず、真実性を考える。
3.類推、比較、誇張法などの表現法を考慮し、正確に理解する。
4.当てはまる状況について考える。
5.関連した格言を探す。
6.納得するまで考え、よく理解する。
7.具体的な適用を考える。
こうしたことを念頭において、一週間に格言を一つずつ考慮してみるようにお勧めいたします。では、先人の知恵を体得し、それにつれてあなたの生活に喜びが増し加わりますように!
また、目標設定評価プログラム『カウンセラー』も役立ちますので、ぜひご利用下さい。