▲目次へ戻る
第10話 タンポポ坊やのパラシュートの旅
- その1 -
たい北風が吹き始めました。街路樹の根元に咲いていたタンポポ母さんの黄色い花も種になり、ふわふわの綿毛パラシュートも出来上がりました。母さんは可愛い種になった子供たちに子守唄のように、故郷のことを毎日話しました。母さんの故郷は、鳥がさえずり小川のせせらぎも優しく、土筆さんや蓬さんと一緒にタンポポ仲間がお日様を体一杯浴びる楽園でした。母さんは子供の頃、南風に吹かれてこの街路樹の根元に着陸したのでした。タンポポの坊やたちはこのお話がだいすきです。人間や車やビルしか知らない坊や達は母さんの故郷を目指して旅立ちたいと思っていました。ある日、木枯らしのひと吹きで坊やたちは母さんから離れ大空へ舞い上がり旅立ちました。どの種も舞い上がったのに一個だけ母さんから離れません。母さんは仕方がないので待ちました。何日も経った冬の朝ついに一陣の北風と共に最後のタンポポ坊やのパラシュートが吹き上げられ、旅が始まりました。 つづく
前のページ  次のページ   [1][2][3][4][5]

●無料ページです。

▲目次へ戻る ▽通常表示 ▲著作者用

Member's Online Book Ver4.00+ License[00000]