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第5話 仲良しコスモス
土手のあちこちに、ピンクと白のコスモスが咲く季節が、やって来ました。貯水場の壁際にも、白いコスモスが咲いています。今年も、コスモスの美しさを競う「揺らぎ大会」が始まります。風に乗って『そよ〜そよ〜』とその美しい姿を、揺らすのです。今年の大会は特別です。ススキや泡立ち草たちの観客つきです。コスモスは、とても興奮しています。これ迄、優勝してきたのは「土手のあちらのピンクさん」でした。「壁際の白いコスモスのスノーさん」は、いつも風が足りなくて・・なかなか揺らげず、毎年最下位でした。それでも<揺らぎ大会>に参加出来ることを本当に嬉しく思い、とても幸せでした。それはコスモスの誇りなのです。秋の風が、サワサワーと吹いてきて<大会>がスタートです。それぞれが出来る限りの力を尽くし、朝から夕方まで、大きく優雅に揺れました。「壁際のスノーさん」も、大きく揺れようとしますが・・やっぱり、陰なので風が足りません。でも、とても幸せで嬉しそう・・でした。優勝者を、皆で決めます。賑やかに夕暮れの中、推薦の声が上がります。「土手のあちらのピンクさん」が「こちらのコスモスさん」に言いました。「今年は、壁際のスノーさんが、一番だと思います」。皆も「そうね、そうね」と一致して決まりました。驚いたスノーさんは「私は大きく揺らげなかったわ」と言いました。すると仲間のコスモスが、一斉に言いました。「少しの風という苦しい中で、幸せそうに揺れている姿がとても美しかったわ」と。「壁際のスノーさん」は、仲間の愛が嬉しくて・・幸せのあまり夕闇の中、そっと涙を流しました。 おわり

  「秋風に 仲良しコスモス群れつつ言う 貴女も私も揺らぎがきれい」 Mrs.ポピー
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