| 「もう、いいか〜い？」小さな桜の芽々坊や達の声が、梢の中にこだまします。「まあだだよ。♪梅おばさんを祝福し、ピュウピュウ北風逃げてって、ポカポカお日様高くなる。それまで、おやすみ坊や達。ねんねんころりよ♪ ねんころりん♪」桜の母さんの優しい子守り歌が、二月の空に響きます。・・・・・可愛い芽々の坊や達は、母さんの木から栄養を貰って少しずつ膨らんできました。でも、まだまだ固くてとんがった蕾の芽です。今、坊や達がほんの少しでも顔を出したら意地悪木枯らしや冷たい霜で死んでしまうでしょう。そんな事、坊やは何にも知りません。だから、日の出と共にお顔を出したくて騒ぐのです。元気な坊や達はデビューできる春が待ち遠しくって仕方がありません。それに近所の梅おばさんのところの嬢ちゃん達は、お顔を全部出して花開き、プンプンと甘い香りをこちらまで放ってるではありませんか。「僕たちだって負けられないもん」だから今朝も、桜の母さんに「もう、いいか〜い？」と聞くのです。 つづく |
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