心のサプリメントで元気を出してください!!!
| 掲示板 |



HOME

 ようこそゲスト様


ログイン
会員登録
パスワード再発行
心のサプリメント
女性の在り方
心のエッセイ
心の童話
格言解説
お問合せ
購読規約
法律に基づく表示

心のサプリメント

▲目次へ戻る
第19話 茜色のファンタジー
- その1 -
雨のあがった夕暮れ、褐色の落ち葉に包まれた赤とんぼのトムに、サーヤが出会ったのは一週間前でした。薄いガラス細工のような透ける羽を濡らしてしまい、ビクッとも動かなくなっていたトム。 サーヤは、落ち葉のままトムを手のひらにのせて家に持ち帰りました。そして、暖炉の前の柔らかなクッションの上に置き、羽が乾くのを待ちました。トムは少しずつ羽を震わせ始めました。暖炉のくゆる光に照らされた細い赤とうがらしのような体に、温もりが伝わっているようでした。サーヤは顔を近づけ、静かに「だいじょうぶ?」とたずねてみました。トムは、生死の境をさまよいながら『生きて・・もう一度空を飛びたい!』と闘っていました。消えかけた炭火のような命の力にもかかわらず・・トムは必死に羽を二度ばかりパサッ!パサッ!と閉じてまた開いて見せました。自分を助けてくれた、サーヤへの感謝を表す精一杯の答えでした。「そう・・よかったねぇ」とサーヤは安心して自分の部屋に戻り ベッドに就きました。そして、朝の光が暖炉の部屋に射し込み始め・・トムの赤い体を目覚めさせます。 つづく
前のページ  次のページ   [1][2][3][4][5][6][7][8][9][10][11]

●無料ページです。

▲目次へ戻る △全画面表示 ▲著作者用