第23話「パープル・メランコリィ」(-その1-)
春の小さな児童公園、ぶらんこが三台しかないけれどママと子供には人気なのです。お手手つないでやって来て待ちに待った、おんもで遊ぶのでした。そして今年も花壇には、春の息吹きチューリップが沢山並びました。ギーコ・ギーコ、ぶらんこ押し押しママが歌います。「♪咲いた〜さいた〜チューリップの花が〜並んだ〜ならんだ〜赤、白、黄色〜♪・・」。ぶらんこの女の子も歌い出します「♪あか〜ちぃろ〜きぃいろ〜♪」。傍らのチューリップ達が耳を澄まします。やがて開き始めました。赤、白、黄色の花が元気に春風にそっと揺れながら・・。でも、紫色のチューリップだけはがっちり閉じたままです。紫[パープル]のチューリップの花の中には、悲しみがいっぱい詰まっていたのです。『毎日聞こえるこの歌、私のことは呼んでいない・・喜んでもらえない・・だから花を開けない・・』と、がっかりしているのです。紫[パープル]と、だあれも歌ってはくれない悲しみに包み込まれていたのです。パープル・メランコリィの春がチューリップ達に始まりました。 つづく

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