格言再考－情報化社会と格言
情報が氾濫している社会にあって、格言やことわざは古いと思う方もおられるでしょう。確かに、それは最新のニュースを提供するものではありません。しかし、私達が本当に必要としているのはどんな情報か良く考えて見ましょう。私達の生活を一層健全なものにし、人生を成功させるのに必要なものはどんな情報でしょうか。一方、最新のニュースの中で私達に本当に必要なものはどれだけあるのでしょうか。
コンピュータのハードディスクの中で不要な情報を削除し整理することが、コンピュータの機能を一層向上させるように、私達の頭の中でもそのような整理は重要に違いありません。情報の価値はみな同じではないでしょう。重要度に応じて情報を整理し簡素化することは、健全な生活に役立つことでしょう。
さて、格言は情報としては最新のものでないことは明らかです。しかし、その助言やそこに表明されている知恵は決して古くなったりするものではありません。そうした見地に立って見るとき、最新のニュースよりも古い格言の方が新しいとさえ言えるのです。たとえば、殺人事件に関する最新のニュースも実はこれまでになされた数知れない殺人事件の一つに過ぎないでしょう。テロのニュースも、状況や規模は異なるとしても、やはりこれまでになされた無数のテロの一つに過ぎないのです。テロそのものは少しも最新のものではないからです。
さて、一方、「満足することを知れ」とは昔からの格言ですが、物質主義的な現代社会にあって今ますます必要な知恵なのです。こうした知恵や助言は最新のニュースの中にはないでしょうし、それらをいくら集めてもそれには変わりありません。
情報を重要度に応じて整理し、本当に必要な情報を消化吸収し、知恵の点で成長して行きたいものです。それに応じて私達の幸福は増し加わることでしょう。その点で、格言は有用な道具となり得るのです。